Chez Momo(シェ モモ)|コンフィチュールと焼菓子の専門店

Chez Momo(シェ モモ)|コンフィチュールと焼菓子の専門店

松本城の近くを流れ、地元の人には馴染みの深い女鳥羽川沿いに店を構えるコンフィチュールと焼菓子の専門店、Chez Momo(シェ モモ)。
コンフィチュールとは、フルーツに砂糖やはちみつを加えて加熱濃縮し、保存性を高めた食品のことで、いわゆる「ジャム」のことである。

オーナーである蒔田さんが作り出すコンフィチュールは、意外な素材のマリアージュが面白く、そして美味しい。
いろんな素材をいろんな組み合わせで試してみて、ちょっと食べて "物足りないな" と思ったら、そこにまた何かを足してみる。
それを繰り返して、絶妙なマリアージュのコンフィチュールが出来上がるという。
※現在は製造設備拡充のため、一時的にコンフィチュールの製造販売を休止中(焼菓子は販売)

砂糖に関係する仕事がしたかった

小さい頃からお菓子作りが好きだった蒔田さんは、製菓の専門学校を卒業後、2000年に東京のお菓子屋さんに就職。

「お菓子作りが好きでこの道に進んだものの、いっときお菓子屋のことが嫌になった時期があったんです。でも、砂糖に関係する仕事をしたい気持ちはずっと変わらない...そんなふうにモヤモヤしていたとき、砂糖菓子の一つであるコンフィチュールを作るのはどうだろうと思ったんです。

その後、就職したお菓子屋さんを退職してワーキングホリデーなどで何度か渡欧する中で、自分の店を持ちたいという気持ちも芽生えて。
帰国後に地元の松本に戻り、カフェで働いた後、2010年にお店をオープンしました。

オープン当時の業態はカフェ。2016年までカフェ営業をしていましたが、製菓に専念したいという気持ちが強くなり、現在のようなコンフィチュールと焼菓子の専門店になりました。」

目指すのは「普段使いの」ジャム

コンフィチュールのベースとなるフルーツは、季節を感じられる食べものだ。
長野県は、季節ごとにおいしいフルーツが手に入る素晴らしい環境。素材にもなるべく地元産のものを使うようにしているという。

「地元で手に入らなければなるべく日本国内でとれたものを使い、日本になければ外国産のものを使う。特別に意識せずとも、自然と"地産地消"になっていっているかなと思います。

出来るだけ高品質で美味しい素材を使いたいというのは、お菓子作りをする人はきっと全員同じ。でも、最高の素材をふんだんに作って出来たジャムが、例えば1瓶3000円になったら、日常的に楽しむのはちょっと難しいですよね。
贈答用の高級コンフィチュールも商品としてはもちろんありだと思います。
ただ、僕としては、多くの方に気軽に"ジャム"を楽しんでほしいという思いの方が強いです。まちのケーキ屋さんのように、日常的に美味しいジャムを味わってもらうことを目指しています。」

味覚の引き出し

季節のフルーツを使ったジャムのレシピは、雑誌の特集などでもよく見かける。
美味しそうだなと思って作ってみると、いまいち味が決まらなかったり、砂糖の甘みばかり前面に出て、フルーツの香りが飛んでしまっていたり...。
フルーツに砂糖を入れて加熱するというシンプルな工程なのだけれど、私は美味しいと思うジャムを自分で作れたことがない。

「元々ジャムは家庭料理というか、おうちで作られてきたものだから、そこまで難しいことはないと思いますよ。
しいて言うなら、砂糖の性質を知っておくと良いかもしれませんが、それ以上に、自分の中に『こういうものが美味しい』という基準があるかどうかの方が大事な気がします。」

例えばリンゴのジャムには紅玉やグラニースミスなど酸味が強い品種が使われることが多いが、蒔田さん曰く、酸味が弱いものでも素材の組合せ次第では生かしようがあるという。

ソムリエは、何千種類とあるワインの風味や特徴を、自分の頭のデータベースに叩き込む。そのデータベースから、お客様が食する料理や予算に最適な提案を行っている。
そういう"味覚の引き出し"が、美味しいジャム作りに生きているのだと思った。

ヨーロッパの伝統菓子の魅力

Chez Momoのもう一つの魅力は、焼菓子の美味しさだ。
焼菓子は創業当初から製造しており、ジャムの製造を一時休止している現在も、店頭ではさまざまな焼菓子を買うことができる。

「昔から、ヨーロッパの伝統菓子・地方菓子が好きでした。地方菓子には特徴的な味わいがあります。素材にハーブやスパイスが使われていたり、熟成させて味を引き出すようなものもあったりして、すごく面白いんです。

面白いんですが、同時に、僕が目指しているのは、お客さんに『美味しい』と思ってもらえる菓子を提供すること。現地の味をそのまま再現することをストイックに追究している訳ではありません。
なので、僕たち日本人の嗜好に合うようにアレンジすることもあります。」

私のお気に入りは、フルーツケーキ。
長野県産の地粉を使い、イチジクやプルーン、アプリコットなどのドライフルーツと、ナッツ類がゴロゴロ入っている。ほのかに香る洋酒と香辛料が、ドライフルーツの甘さをうまく引き締めていて、バランスが良い。
ドライフルーツと香辛料と洋酒のマリアージュは、香り高い紅茶にもよく合い、ティータイムにうってつけな一品だ。

ジャムの楽しみ方

現在、Chez Momoではジャムの製造設備拡充のため、一時的にジャムの製造販売を休止しているが、2023年中の販売再開を目指しているという。

「ジャムにはいろんな楽しみ方があります。ドリンクのベースとして甘さ控えめのサイダーで割っても美味しいし、ドレッシングのベースにもなる。ビネガーの酸味とオイルのコクに、ジャムの甘みやフルーティーさが加わると、味わい深いドレッシングがお手軽に作れます。
販売再開したら、是非いろんなアレンジで、季節のジャムを楽しんでいただけたら嬉しいです。」

ChezMomo
長野県松本市大手4-4-16
OPEN:10〜18時
駐車場:なし
定休日:水曜日、木曜日、不定休有り

 

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